はじめよう 株 投資生活!
アメリカの証券会社のオンライントレードを国内の投資家が利用することについては、国内の証券会社との取引にはない問題が存在することも忘れてはならないでしょう。
そもそも、アメリカのオンライン証券会社は、わが国の証券会社(または外国証券業者)として正式に登録を受けているわけではなく、日本国内で投資家に対する勧誘を行うことはできないものとされています。
国内の投資家が、実際にオンライントレードロ座を開設することができるのは、あくまで投資家側から自発的に証券会社と接触するのであれば違法とまではいえないと考えられているからに過ぎないのです。
この点は、国内で登録を受けている外資系証券会社の東京支店や外国の業者との合弁会社など、国内の外資系証券会社を利用する場合とはまったく異なっています。
一方、アメリカの法規制上も、日本を含む海外の居住者からの口座開設申請をどんどん受け付けて良いかどうかについては微妙な問題が残っており、オンライントレードでもアメリカ非居住者による口座開設は受け付けないという証券会社も少なくありません。
このように、ある意味ではグレーの領域ともいえる海外のオンライントレードの利用ですが、売買取引そのものは問題なく行えたとしても、取引にかかわる税金をめぐっては、さらに大きな問題が生じる可能性もあります。
アメリカのオンライン証券会社は、口座開設を希望する非居住者のためにW-8というフォームを用意している場合が多いようです。
このフォームを提出しておけば、アメリカ国内の投資家とは異なり、配当金受け取りなどの際の源泉徴収が免除されることになるのです。
しかし、これは、アメリカの税務当局と投資家の居住国の税務当局による二重課税辛、その結果としての還付手続きを回避するための措置で、税金をまったく支払わなくてもいいという意味ではもちろんありません。
わが国の税法では、アメリカの証券会社と直接取引することで発生した配当金などのインカムゲイン、株式の売却に伴うキャピタルゲインは、いずれも国内における所得税課税の対象となります。
したがって、通常は給与から所得税を源泉徴収され、確定申告を必要としないサラリーマンであっても、これらの所得を申告し、給与など、その他の所得と合わせて総合課税されなければならないということになります。
これは、取引で儲けた金を国内へ送金せず、アメリカで別の銘柄を追加購入するなど、再投資していたとしても同じことです。
海外の銀行口座へ入金して、その口座を引き落とし口座とするクレジットーカードを使用するといった工夫をすれば、国内への送金を経ずに商品やサービスの購入に充ててしまうことも可能でしょうがだからといって所得税を納めなくても構わないということにはなりません。
正しい納税は国民の義務ですから、税務当局に知られなければ良いといったことでないのは当然です。
しかも、わが国の税務当局も、改正外為法の施行で海外との取引が増加し、結果的に課税漏れが生じることを懸念しており、銀行からの送金記録を積極的に調査するなど、徴税体制の強化を図っているようです。
海外の証券会社のオンライントレードを利用する人は、万が一にも、うっかり申告を忘れていたといったことがないよう、十分に留意する必要があるでしょう。
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このことを世に知らしめたのは、アメリカのある会社がインターネットを通じて行った資金調達でした。
九五年二月、ニューヨークの地ビール会社スプリングーストリートーブルーイングのホームページ上に次のようなメッセージが掲載されました。
「当社は価格一ドル八十五セントで二百七十万二千七百株の株式(総額約五百万ドル)を発行します。
関心のある方はボタンをクリックして売付申込案内書(オファリングーサーキュラ土に目を通して下さい)界で初めてのインターネットを利用した株式募集が開始されたのです。」
このホームページを通じた株式募集の方法は、次のようなものでした。
スプリングーストリート社のホームページにアクセスして株式募集に関心を持った投資家は、売付申込案内書のファイルをダウンロードします。
これは通常、上場企業などが株式を発行する際に作成して投資家に交付する目論見書と同じような内容の書類です。
会社が発行する株式の内容、会社の歴史や事業内容、役員の経歴、今後の事業計画、過去の決算などの財務データ、投資に際して考慮しなければならないリスク要因など、投資判断に際して必要となる様々な情報が掲載されています。
フアイルをダウンロードする方法がわからない投資家は、書類を郵送してもらうこともできるようになっていました。
売付申込案内書を読んで、スプリングーストリート社の株式に投資をしてみようと思った投資家は、ホームペ九ンから株式購入申込書をダウンロードし、プリンタで印刷して必要事項を記入し、自筆の署名をします。
この申込書も売付申込案内書と同様に、郵送してもらうこともできるようになっていました。
株式購入申込書、購入代金相当の小切手、スプリングーストリート社の株式が証券法上の手続きに則って登録されている州の居住者であることを証明する書類(運転免許証のコピーなど)の三点を揃えて会社宛てに郵送すれば、購入手続き完了です。
会社側が書類を確認した後、投資家に株券を郵送します。
通常、上場会社などが株式を発行する場合、これら一連の手続きは、引受証券会社を通じて行われます。
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もちろん、そのうちの多くは、単に興昧本位でのぞいてみたというだけに過ぎなかったようです。
それでも、実際の株式購入の申し込みも相次ぎ、予定した一年間の募集期間を終えた時点で、スプリングーストリート社の株式を購入した投資家は三千五百人に達しました。
こうして創業から三年ほどの小さな地ビール会社が、銀行も証券会社も介することなく、多数の投資家から百六十万ドルの資金を調達することに成功したのです。
ちなみに、この百六十万ドルという金額は、当初、ホームページにうたわれていた募集総額五百万ドルに比べてかなり少ないように感じられるかもしれません。
実は、スプリングーストリート社が株式発行額の上限を五百万ドルとしたのは、どうしてもそれだけの資金が必要だったからというよりは、むしろ証券法規制上の理由からでした。
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